FTXとは自分的には…
自分が女性である事も楽しめ、男装も楽しむ人が自らをFTXと名乗っている事もあるが、私が自らをFTXと定義するのには、そこはちょっと事情が違うのである。
で、ここから先は、不妊に悩んでいる方などには不快な内容も含んでいるので、あらかじめ見ない事をお薦めする。
育った環境での両親の不仲、さらに母親の両親(つまり私のおじーちゃんとおばーちゃん)がDV家庭だった事も影響しているのかもしれないが、私は子供の頃から結婚というものに明るいイメージが持てなかった。
さらには、将来子供を自分が産むなんて考えられもしなかったし、考えたくない想像だった。
子供が自分で産めたらいいと思うMTFの方には大変失礼ではあるが、同じ中性でも、MT~の人達はいいな、女の格好をしていたって、子供を産めという圧力とは無縁の世界で生きられるのだから、と思っていた。
つまり私は、自分が産める身体である事が嫌で嫌でたまらなかったのだ。
数年前、生理が全く止まらなくなり、出血もひどい時はあり得ないような大出血になった。
近くの小さなクリニックに行ったら、検査は異常なし、単なる更年期障害でしょうと言われた。
それでもその状態は2年間も続き、さすがに耐えきれず、別の病院へ行ったら、初期の子宮体癌だった。
で、性別違和とは関係ないところで、子宮・卵巣全摘出となった。
最初はまず、これで生理が来なくなる、と心底ほっとした。
次には、女だから子供を産め、女だから母性があって当たり前&子供が欲しいに違いない、そうした怒涛のような渦の中に、今までは必死でおぼれそうになりながらもがき続けていたのが、対岸の岸の出来事のように、自分とは無縁になった、という幸福感がやってきた。
私は特に子供嫌いではない。
好きな方ではないとは思うが、それでも、可愛いと思う事もある。
でも、自分が産む性である事には、昔から非常な違和感や抵抗感があった。
産めない身体になって、本当にほっとしている。
それが本音だ。
女の身体に生まれても、そうした感覚を一生持ち続ける人間は、少数ではあるが存在するのだ。